SIMON WHETHAM - Exhibition & Performance

YOSHIHIKO SHIMIZU AND TOMONARI HIGAKI : Eight Views of Summer (2025)

  • Format: CD [ENG-CD008]
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  • Label: Engine Books

1,650円

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「1925年にラジオ放送を開始したNHKでは開局直後からラジオドラマを始めとする純粋な聴覚のための芸術への挑戦が行われており、1930年には擬音(効果音)を主役とした作品「夏八景」が放送されています。
こちらの作品は効果音で表現した日本の夏の情景を電波に乗せて家庭へ届けようとする試みですが、そのころのNHKに録音機は存在せず、生放送で行われた「夏八景」はもちろん現存していません。
そこで「夏八景」の梗概をもとにして、2人の作曲家が現代的な視点から「夏八景」の再創造を試みました。
檜垣智也はAI生成を中心に使用して、そして、清水慶彦はフィールド・レコーディングの手法により広義の電子音楽を作曲しています。
2025年版の「夏八景」は放送局を舞台に音響の世界を追究した100年に及ぶメディア・パフォーマンスの歴史を再確認する作品と言えるでしょう。」


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1930年の新聞記事より

日刊ラジオ新聞 1930年7月25日号より

百パーセント放送音劇 擬音レビュー 出演の人間はすべて助演というかたち

今晩9時より放送される「夏八景」は「音の描写、擬音レビュー」といい放送開始以来、初めての試みという極めて珍しいものです。
擬音を主にしたスケッチの連続で、自然放送局自身の演し物といったかたち。
総指揮には景物詩などで多年擬音を手がけてきたAK文芸部の小林徳二郎氏があたり、擬音係の辰巳鉄之助、畑野繁、立花寛の三君がもっぱら腕をふるいます。
そこでこの「夏八景」ですが、いったい擬音というものは耳馴れた音、やや音楽的な音でないと、何の音であるか分からないおそれがある。
で、夏の風景を主にした、お新香でお茶づけを食べる程度の短いスケッチを、耳慣れた音と、それに和楽と洋楽の歌詞のないものを交錯させ、あるときは事件をセリフによっておぎなっています。
第一景は「ビルディングの午後」の眠気ざまし、第二景は「通り雨」の初夏気分、第三景は「波」波の音による静寂、第四景は「身投げ」、第六景の「夕立」では喜劇的なトリックを用い、第五景「火事」、第七景の「峠」は写実的なスケッチ、第八景の「水の上」ではロマンチックな水の上の情緒といったふうな組み合わせ。
すべて時と所を超越した点は、ラジオ独特の自由さである。


読売新聞 1930年7月25日号より

第一景 ビルディングの午後
あるオフィスで、はじめタイプライターの声が聞えているが、やがて算盤を読み上げる声になる。しかし、それもだんだん眠そうな声になる。扇風機の音が高くなる。突如、課長が入って来る。
男 「あ、課長だ、課長が来た」
課長「や、皆さん暑いですね。まったく眠くなるくらい暑いですよ」

第二景 通り雨
かすかに小唄が聞こえ、雨を呼ぶ蛙の声が聞こえる。やがて雨が降ってきて、大降りになったり小降りになったりする。蛙の声、いっそう高くなり、それにかわってピアノ聞こえる。雨は小やみなく降る。

第三景 波
大波の音。それにかぶせて尺八が聞こえる。船唄、千鳥の鳴き声。波。ハーモニカ吹いて行く者がある(夜の曲)。やがて消える。

第四景 身投げ
水の音。モーターボートが通る。櫓の音。それがやむとザブンと大きな水の音がし、ふたたび飛び込み、泳ぐ音。
「どうしたんです」
「どうしたって、君、身を投げたんでしょう?」
「どうして」
「こんな川のなかに飛び込んで……」
「飛び込んだっていいじゃないですか」
「そりゃあ……」
「今夜は暑いでしょう」
「暑い」
「とてもやりきれないでしょう」
「やりきれません」
「で、飛び込んだんです」
「じゃ、身投げじゃないんですね」
「ええ、泳ぎに入ったんです。どうです。一緒に泳ぎませんか」

第五景 火事
火の番の拍子木。それがだんだん遠くなっていく。突如サイレンが聞こえて、蒸気ポンプが通る。三ツバン、寺の鐘も交じる。

第六景 夕立
定斎屋が通って行く。ひどい雷と雨の音が聞こえ、風鈴がはげしくゆれる。雨がやむ。豆腐屋のラッパの音が遠い。

第七景 峠
遥かに昔ふうな馬の鈴が聞こえ、近くなって消えて行く。ガタ馬車のラッパと車の走る音。馬蹄の音。牛が鳴きながら通る。自動車。遠くを汽車が通る。その汽笛と列車の音。ひぐらし。谷川の水のせせらぎ。虫の音も聞こえてくる。

第八景 水の上
水の音。艪の音。違く明笛の音。近づいてきて、再び遠くに去る。モーターボートが通る。佃をはやしながら近くへ、そして遠くへ去る。ヴァイオリンの音、遠くに起こり、そしてふたたび遠くへ去る。新内の流しがウァイオリンと交錯して、近くなり再び遠くなる。突如、遠くに花火があがる。「たまや!」「かぎや!」などの声があがる。モーターボートがふたたび通り、艪の音。ふたたび明笛。それに義太夫の流し交わる。佃囃子。犬の遠吠え。あんまの笛。と、急調なヴァイオリンとピアノの曲が、すこし近くで急に起こってすぐに止む。静かに水の音。

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清水慶彦、檜垣智也 「夏八景」(2025)
Yoshihiko Shimizu and Tomonari Higaki “Eight Views of Summer” (2025)

1. ビルディングの午後 Afternoon in a Building (2:48)
2. 通り雨 Passing Shower (3:11)
3. 波 Waves (3:50)
4. 身投げ Into the River (2:09)
5. 火事 Fire (3:25)
6. 夕立 Evening Squall (1:55)
7. 峠 Mountain Pass (5:59)
8. 水の上 Upon the Water (5:15)
Total time: 28:32

企画= 川崎弘二 Koji Kawasaki
声(第一景)= 安岡カズミ Kazumi Yasuoka
バロック・フルート(第三景)= 永野伶実 Remi Nagano
声(第五景)= 丸太町小川 Ogawa Marutamachi
初演= 2025年10月12日 MEDIA SHOP(京都)

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