JIYOUNG WI : D-08 - 4'44"

オランダを拠点に活動する韓国の電子音響アーティスト、ジヨン・ウィのCD付きの本！！
Flora Yin-Wong主催のDoyenneからのハードカバー本です。 フィールドレコーディング＆語りを中心に素晴らしい内容。
オススメ！

「韓国生まれ、オランダを拠点に活動する電子音響アーティスト、ジヨン・ウィ（Psychic Liberation / Enmossed）が、書籍とオーディオCDの二重フォーマットで構成された自称「サウンドフィクション」作品『4'44"』を発表する。ハーグで音響学の講座を受講中のウィは、この二つのメディアの関係性を通して物語の可能性に変化をもたらす最新作に取り組んでいる。

一連の手紙と会話の書き起こしを組み合わせた『4'44"』の音声は、フィールドレコーディングで収集された音と、韓国語、日本語、中国語、ベンガル語、英語、リトアニア語、トルコ語の7人の話者による書き起こしの朗読を組み合わせたものだ。複数の言語を用いることで、テキストの文化的・地理的な文脈は統一されておらず、会話に携わる人々のアイデンティティがさらに曖昧になっている。テキストを音に変換するこうした手法は、読者を「4'44」の断片的な世界へと誘う序章となる。親密でありながらシュールなこの物語は、生き残るために自らの分裂した精神を頼りにする一人称の語り手が、謎の病の様々な段階を辿る様子を描いていく。

家父長制的な権威がほとんど存在しないこの世界で、主人公のトラウマは肉体的な病として現れ、彼女を蝕みながらも導く共生的な力となる。物語は、記憶とアイデンティティがどのように具現化されるかを強調し、死が抵抗と存在のラディカルな形態として浮かび上がってくる。

タイトルは、ジョン・ケージの273秒間の「4'33」を借用したもので、しばしば全ての分子運動が停止する-273℃、つまり絶対零度を指していると解釈される、この作品の多層的な概念的・形式的探求を反映している。 Wiは11秒を加えることで、「他者」について考える時間を作り出し、送り手（自分）と受け手（他者）の両方が関わる手紙を書くという行為を彷彿とさせます。この時間操作は、多くのアジア文化において数字の「4」が死と結び付けられることが多いことから、文化的象徴性も反映しています。4分33秒の宙吊りの雰囲気と、短くも力強い思索の瞬間が融合した「4'44"」の手紙は、死の淵にある、自己の向こう側にあるものについて瞑想を促します。」



Title: 4’44”
Author: Jiyoung Wi
Category: Short Fiction, Sound, Experimental Music, Feminism, Matrilineal Narratives
Languages: Korean, English
Format: hardcover, 165 pages, Black-and-White, 128×205mm, CD included
ISBN: 978-1-0369-0338-1
Translation: Dayun Ryu
Editors: Yeasul Shin (Korean), Gye Taekgon (桂澤坤) (English)
Design: Yongwan Jeon
Sound mastering: Lawrence McGuire